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新しい歴史教科書をつくる会
教育再建、教科書の是正を求める国民の声が次第に大きくなる中で、事態はようやく、教科書改善に向けて着実かつ大きく前進し始めました。
最近の
顕著な事例をご紹介します。
現在文部省に検定申請中の中学校歴史教科書では、これまで自虐的記述の典型として問題視されてきた「慰安婦」をめぐる記事について、大きな変更がありました。まず、歴史的根拠がないと批判されてきた「従軍慰安婦」という用語を載せた教科書は全く無くなりました。さらに「慰安婦」や
「慰安施設」については、全8社中、3社の教科書のみが取り上げ、これまで全社が記載していたのとは様変わりしました。 また、南京事件をめぐる記述も、1社のみが被害者について具体的な数字を挙げ、他は一切載せなくなりました。これまでは1社を除き、全社が10数万、20万、30万などの根拠の定かでない数字を挙げていたので、これもめざましい変化です。
平成12年7月28日、第149回臨時国会の首相所信表明演説で森首相は、経済・社会保障・教育・政府・外交を新生させる「日本新生プラン」を示しました。その中の「教育の新生」において、「教育委員会の在り方」も重要課題と位置づけ、「国民的な議論を踏まえながら、思い切った改革を積極的に推進してまいります」と言明しました。 8月8日の参議院予算委員会において、この総理発言に関連して「大事な教育委員会の任務と定められている教科書採択の問題」が含まれるのかどうかとの質問に対し、総理欠席のため代理として答弁に立った中川官房長官は、「それぞれの教育委員会が責任を持って適切に採択を行なうことが必要である。そういう意味での重要課題と認識しておられると思う」と総理の見解を代弁いたしました。 以上のような形で、教育委員会が責任を持って教科書を適切に「採択」することが重要な「課題」であることが政府の公式見解として表明されたことをよくご認識いただきたいと思います。これはまことに画期的なことです。
また、参議院予算委において、教育委員会の権限と責任の明確化を求めた平成二年の文部省初等中等教育局長通知にもかかわらず、学校票や諮問機関(採択委員会等)の絞込みなどによって教育委員会の権限を空洞化させる慣例がまかり通っている現状を指摘された大島文部大臣は、「教科書選定については、毅然として教育委員会の判断で行なうことが当然であろうと思いますし、間違っても組合の意見によってとか、そういうことがあってはならない」と答えるとともに、「平成二年の初等中等教育局長の通知」についても「基本はいっさい変わっていない」と言明、「あらためて各教育委員会などに対して」「適切にしっかりとした指導をしてまいりたい」と、今後の指導方針を明らかにしました。
平成12年9月13日、文部省は上記の文部大臣答弁をうけた形で都道府県・指定都市教育委員会委員長・教育長会議を開催し、教科書採択について直接指導を行いました。その内容は以下の通りでした。
一、各都道府県や市町村における採択事務については、文部省は、平成2年3月20日付けで各都道府県の教育委員会教育長あてに「教科書採択の 在り方の改善について」ということで通知を出しているが、10年経って、その推進状況は必ずしも進んでいない。
一、教科書研究を十分やって、その内容でしっかりと選定委員会にかけて、最終的には教育委員会が、責任をもって採択する体制をつくってほしい。
一、まだ、一部の地域には、学校から推薦された数を集めただけで、結果的に採択されているというところがあるが、このような責任の所在がど こにあるか分からなくなるような在り方はぜひ改めていただきたい。
一、採択の結果、なぜいくつかある教科書の中からこの教科書を選んだかということを、きちっと地域の住民の方々や保護者に説明できるように してほしい。採択理由はぜひ公表していただきたい。都道府県の選定審議会や市町村の採択地区の協議会等に保護者の代表の方を是非入れるように心がけていただきたい。また、採択が終わったら委員の氏名を公明正大に公表し、情報公開という行政の一つの責任を果たし、携わった人が「自分の責任でやりました」ということを事後的にしっかりと明らかにしていく必要がある。
さらに文部科学省は本年1月24日の都道府県教育長協議会においても同趣旨の指導を行いました。
同通知では、まずはじめに平成2年の文部省通知など一連の文部科学省の指導を踏まえて、東京都教育委員会として改めて改善の諸点を通知することを表明し、以下の8点に渡り指導をしています。
①教科書採択にあたり学習指導要領の目標を最もよく踏まえている教科書 を選定する観点から、専門的な調査研究を行うこと。例えば、歴史教科 書では「歴史的事象に対する関心を高め、我が国の歴史の大きな流れと各時代の特色を世界の歴史を背景に理解させ、それを通して我が国の文化と伝統の特色を広い視野に立って考えさせるとともに、我が国の歴史に対する愛情を深め、国民としての自覚を育てる」などの観点から調査研究すること。
②調査研究資料は、学習指導要領の目標と内容に即して各教科書の違いが 明瞭にわかるものとすること。違いがないことや末梢的な項目は見直し、「より参考になるもの」とすること。
③都教委および各採択地区に設置する機関(選定委員会や採択委員会など)の人選は、上記の基準に基づく調査研究ができる人物にすること。また、保護者なども選定委員や調査員に加えること。
④各区市町村教育委員会は、採択権者として自らの責任と判断で採択すること。また、必要に応じて教科書に直接あたること。
⑤いわゆる「学校票」の規定がある時は、それを改正し「採択手続きの適正化」をはかること。
⑥いわゆる「絞り込み」の規定がある時は、それを改正し「採択手続きの適正化」をはかること。
⑦「開かれた採択」推進の為、教科書展示会を速やかに開催すること。
⑧「開かれた採択」推進の為、採択後には速やかに採択理由や調査資料、委員調査員の氏名など情報公開すること。
以上8点の指導は、文部科学省の指導を踏まえた的確な指導であり、大いに歓迎できるものです。また、選定資料の調査観点に関して、具体的に歴史的分野の目標を掲げたことは画期的といえます。尚、石原都知事は、この通知を受けて、2月9日に記者会見を開き、教科書採択事務の適正化へ向けた明確な姿勢を示しました。
ここで、ご紹介した教科書記述の変更や、教科書採択適正化への政府・文部科学省や東京都教育委員会の姿勢は、つくる会がこれまで主張し、関係者に働きかけてきた運動の方向に沿うものであります。われわれの主張を政府や都が支持したものに他なりません。現在全国各地で進められている地方議会への請願をはじめとする教科書採択制度の適正化へ向けた運動は、時代の大きな流れになってまいりました。